ローダン・ヴェガ1「青き陽光の下で」
3月19日からミニシリーズ〈ローダン・ヴェガ〉がスタートしている。すでに第2話も刊行済みだが、今回はその第1話「青き陽光の下で」の紹介など。サンプル版とかぶる部分もあるがご容赦を。
全12話で、草案担当はミハエル・マルクス・ターナー。
現在判明しているタイトルは以下の通り(日本語は仮題):
- Michael Marcus Thurner / Im Licht der blauen Sonne / 青き陽光の下で
- Ben Calvin Hary / Die Rollende Stadt / 転がる都市
- Olaf Brill / Im Garten des Unsterblichen / 不死者の園
- Madeleine Puljic / Feind der Harthäuter / 硬肌族の敵
- Olaf Brill / Die Mission des Wurms / 芋虫の使命
ローダンの肩書きが“連盟コミッショナー(Liga-Kommissar)”なので3099話/3100話の空白期間の事件なのはわかっていたが、アバン中(および本文中)にて新銀河暦2059年の事件と確定した。3099話「銀河系の子供たち」から13年後となる。
あと、前提知識として、2774話でのテズによる“ディスクロン剪断”の後、この時間線で超知性体〈それ〉は消息を絶っている。2900話台でワンダラーやホムンクが出てくるが、主の行方は語られない。
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トルトの政庁〈赤の宮殿〉の新築披露に招かれた、自由ギャラクティカー連盟コミッショナーのローダン、政庁首席ブル、護衛にあたるグッキーの3名は、直径800メートルの《マーカス・エヴァーソン》でヴェガ星系フェロルに到着。現トルト、ナクティエル・オォクに謁見する。
古い宮殿とその歴史への関心を熱く語るトルト。はて、ではなんでまた改築したんだろか。一応、もはや補修では追いつかないほど老朽化したから、とのことだが。
厳粛なセレモニーが終わり、さらに翌日、お祭り騒ぎに合わせて、新宮殿の思わぬ機能が開陳される。〈平和の遊具〉と銘打たれた宮殿セグメントが離床し、〈不死者の園〉と呼ばれるエリアを飛翔する。その動きに伴い、専用に設置されたハイパー・リレーを通じて既知銀河全域へと、えも言われぬ楽の音が鳴り響くのだ。アートなら、わしら、テラナーにも負けとらんでえ!というフェロン人の喜びようといったら(笑)
一方、《マーカス・エヴァーソン》に同行した科学者キリアン・ガヴリルは、35番惑星軌道に不穏なハイパーエネルギー活動のあることを指摘。時空連続体を揺るがす断裂の発生を予期し、駆けつけたローダンらの脳裏に、ホメロスの哄笑が響きわたる!
時空に穿たれた孔から出現した物体は、“氷結”した時空に包まれた、西暦1975年製の単座戦闘機2機。しかも、パイロットの一方はまだ生きていた!
彼女、ギリアン・ウェザビーは、パウンダー門下の、いわばローダンらの後輩。ブリーは面識もあったらしい。挙動が不審である(笑)
彼女に授けられた〈それ〉のメッセージは、
〈赤の宮殿へゆきたまえ、旧友。転送機のあった場所はおぼえているかな? かつてあった場所にそれはある。活路はそこにしかない〉
現在この時間線に存在しないはずの超知性体は、いったいいつ、何を予想してこの手を打ったのか。
だが、ローダンらが行動に移るよりはやく、ヴェガ系各所に新たに開いた時空の孔から強力なハイパー放射体が射出される。孔も、放射体も、みるみるその数を増していき、現在では機能しないはずのエスタルトゥの奇蹟にも似たバリアでヴェガ星系は封鎖されてしまう。
さらに時空穿孔から出現した“バスタードプリンス”クラカタウのマッカニ艦隊はトルトの旗艦を撃沈。逃げ惑うフェロン人の艦船を蹂躙しつつ、惑星フェロルを攻撃する。爆砕される新・赤の宮殿。さらにクラカタウは、ローダンとブル、不死者2名の身柄引き渡しを要求する。
《エヴァーソン》は戦闘艦ではないため、打開策がない。直前にテラへ艦隊出動要請を送ったものの、この隔離バリアが超空間からエネルギーを汲み上げるものなら、外部からの早期救援も望めない。
思わぬ提案は、ギリアン・ウェザビーからやってきた。〈それ〉――彼女には“超知性体”という概念は、まにあわせの催眠教育による理解を超えたものだったが――が、メッセージを伝えるためだけに、彼女や、死亡したパーマー、戦闘機を送り込んだはずがない。使うべきなのだ、パイロットも、戦闘機も。
ローダン、ブル、グッキー、そしてギリアンが、2機に分乗してフェロルをめざした。クラカタウはローダンらを生かして手中にしたいがために、大規模な艦砲射撃ができない。散発的な在来砲の被弾は、いまなお戦闘機に“溶け残って”いる時空氷がダメージを許さない。
首都トルタ近郊に強行着陸した一行はグッキーのテレポートで赤の宮殿、その残骸へと到達する。ギリアンは瓦礫のなかに感じた、その装置へと3人を導く――フィクティヴ転送機。再び、〈それ〉の声が、
〈これは君の第二のゲーム。第二の銀河の謎だ。君は友の助けを必要とするだろう。当時のように。おぼえているかな?〉
スターダスト星系で、第二の銀河の謎ってネタがあったのはさておいて(爆)
転送機が作動し、ローダンとギリアンの姿が消える。慌ててブルとグッキーも後を追った。
わずか後、クラカタウとその“マスター”はフィクティヴ転送機へと辿り着いた。“マスター”がもたらした太古の遺物の作用で、消えかけていた転送機の力場が安定する。“バスタードプリンス”クラカタウは力場へと踏み出した。ローダンとブルをその手に捕らえるため――謬りを修正せんがために。
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以下次号、なわけだが。
巻頭、バスタードプリンスと、おそらくその“マスター”の会話でも、「歴史の誤謬を訂正する!」という表現がある。シリーズの歴史の闇に沈んだ存在は、それこそ星の数だと思うが(笑)、最初にローダンが訪れた異星系であるヴェガ、この配役に該当するのは何者だろうか。後続タイトルに“硬肌族”とあるが、トプシダーにこんな怪しい行動しそうな一派いるかなあ。
また、巻末近くフィクティヴ転送機を見たクラカタウが、「記憶にあるのより小さいな……」と、その直前のローダンとまったく同じ感想を漏らすのも、伏線と思われるがよくわからない。
意味ありげな言動をしていたトルトがあっさり退場したのも、個人的にはあやしい。なんとなく連想したのが、『超人ロック ムーンハンター』である。やられたフリして、裏で糸をひいてるんじゃあないかとか……。
つかみとしてはおもしろかった。ここで紹介する余裕があるかわからないけど、ぼちぼち追いかけていきたい。
ディスカッション
コメント一覧
> ブリーは面識もあったらしい。挙動が不審である(笑)
「どこにいても必ず迎えに行くから。待ってなよ、ブルくん」w
> 現在この時間線に存在しないはずの超知性体は、
何体か存在する”それ”を、ローダンが槍で貫き……(^^ゞ
> これは君の第二のゲーム。第二の銀河の謎だ。
シン・銀河の謎(^^ゞ
さようなら、全ての銀河の謎。
こうですか(笑)
いや、新劇場版は全然見てなくて……。一大イベントに乗れなかったのは、ちょっと残念です。