SFベスト201 / 伊藤典夫編
『SFベスト201』 伊藤典夫編 新書館
定価1,600円(税別) ISBN4-403-25084-X
『世界のSF文学総解説』(自由国民社)と現在のブランクを埋める企画としてはじまったという本書は、80年代以降のSF及び周辺文学の代表的作品をピックアップして紹介する。80年代というと、ちょうど自分は高校~大学生で、一番SFを読んだ時期のように思う。思う……が、こうして列挙されると、あまり読んでねえなあ(爆)
もっとも、上記『総解説』を読んだ(80年代に出た改訂版、のはず)時点でも、「お、これ、おもしろそう」と思った本が入手困難なのはザラだったし、序文で伊藤氏が書かれていることとは相反するかもしれないが、「事実上絶版」な本は当時よりさらに増えている。大学辞めて市川へ越す際に、とうてい持っていけなくて処分した大量の文庫本のうち、いったいどれだけが現在店頭に並んでいるだろうか。ン10年ぶりに読みたいなーと思えば、アレもコレもみーんな品切れである。読みたい人間がアクティヴにさがすのは当然のことだが、受身的に、本屋の棚を眺めながら、ふと手にとって……というファースト・コンタクトは、なんというか、昔ながらのSFではかなり「狭き門」になってしまった気がする。今回紹介されている本だって「再刊希望」っての多いしね(^^;
逆説的だが、そういう状況だからこそ、こういった紹介本は、出されるべきなのかもしれない。ネットのクチコミとかだけでなく、SFにはこんなにおもしろい本がまだありますよ、という呼びかけ。どのくらいの人に届くのかはわからないけど。ハヤカワから一部名作が新装版で再刊されているのも、そういう流れなのかな。
以下余談。新書館というと、WINGS(現在月刊の漫画雑誌)というイメージしかなかった。高校生のころ、エルリックの翻訳が掲載されているというので買いはじめた。当時は、どちらかというとターゲットがやや男性寄りな季刊誌だったけれど、『パイラザーダ』(あずみ椋)とか『ボイルスタウンの狼男』(竹沢タカ子)とか『それさえもおそらくは平穏な日々』(たがみよしひさ)なんかは毎号楽しみに読んでいた。『アーシアン』(高河ゆん)以降、雑誌のカラーが変わりはじめ、現在は女性向けな雰囲気が強くて、ちょっと買いづらかったりする。でも、Palmシリーズ(獸木野生)が完結したあかつきにはぜひ星雲賞に投票……って、よろこばれませんかそうですか。
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