訃報:H・J・アルパース

作家情報

ハンス・ヨアヒム・アルパース(Hans Joachim Alpers)
1943.7.14 – 2011.2.16

ドイツSF文学関連の作家・編集者として著名なH.J.アルパースが、2月16日、死去したとのこと。享年67歳。病死のようだが、詳細は不明。

アルパースはドイツ北西部のヴェーゼルミュンデ市(現在のブレーメルハーフェン市)生まれ。造船工として職業訓練をうけた後、ハンブルク大学で機械工学、政治学、教育学を学んだ。60年代末からSFアンソロジーの編者として活動する一方、様々なペンネームを駆使して作家としても活躍した。初期にはテラ・アストラ・ヘフトやジュヴナイルSF「宇宙船エンスリン・ノヴァ」シリーズ、近年ではシャドウラン・シリーズや、TRPGと世界観を共有するファンタジー「暗黒眼」シリーズ(DSA)にも参加していた。

個人.的には、主としてロナルド・M・ハーンと共同で編集した各種SF年鑑や、『SF文学レキシコン』(1988年刊行、90年に増補改訂版)の筆者、というイメージが強いが、欧米作家の解説書(アシモフ、ブラッドリー、ラヴクラフトetc.……ん、ひょっとしてオリジナル・アンソロジーなのかも)、ホラー文学レキシコン等、活動内容は実に多岐にわたる。つい先年も、「長年の活動に対して」クルト・ラスヴィッツ賞の特別賞が授与されたばかりである。
(短編作品、編集作品等でも、何度も受賞歴アリ)

なお、日本の読者には馴染みのない名前だが、アルパースはローダン作家のひとりでもある。唯一の参加作品は、ハイネ版ペーパーバック・シリーズ「アラ=トキシン」第3巻『ネクロジェネシス』となった。

以下、私事となるが、マイPCのタイトル・リスト用フォルダには100個近く、容量800KBのテキストファイルが収納されているのだけど、そのうちかなりが上述のSFレキシコンに掲載されたものを入力・翻訳したものだ。大半はrlmdi.のサイト上で公開されているが、あれだけ訳しても、苦労とも思わなかったのは、同書のおかげでドイツSFのいろんな情報に接しつつ遊び感覚でできたからだろう。実に勉強になった。ありがとう、アルパース。

■Wikipedia: Hans Joachim Alpers
■Bibliographie: fictionfantasy.de

Posted by psytoh