訃報:E・C・タブ

作家情報

更新もせずにオンゲ三昧な日々をすごしているうちに、こんなニュースもあったわけで。

E・C・タブ (Edwin Charles Tubb)
1919.10.15 – 2010.09.10

デュマレスト・サーガ等の作者として知られる、イギリスの作家E・C・タブが亡くなったとのこと。90歳というから大往生である。ご冥福をお祈りする。

ローダン作家ではないし、ドイツ人SF作家でもないが、愛読したシリーズの作者ということで。にしても、ドイツのSFサイトで欧米作家の訃報を仕入れてくるって、わしも偏ってるなあ……。
閑話休題。

エドウィン・チャールズ・タブは、生粋のロンドンっ子らしい。若い頃パルプ雑誌を愛好したというだけあって、1951年のデビュー後は、SF以外にもミステリ、ウェスタンなど大量に執筆しているようで、このへん、初期のローダン作家(ヘフト作家)と酷似している。
(例えば、ハヤカワ版だと来月登場するペーター・テリドを紹介するときにも、似たような文面になるはずだ。)

代表作となるデュマレスト・サーガは、1967年に第1作『嵐の惑星ガース(The Winds of Gath)』が刊行され、以後85年までに31作が出版されている。邦訳はここまでだが、92年に『帰還(The Return)』(当初、仏語版のみ発売、97年に英語版)と、2008年に『地球の子(Child of Earth)』(短編集?)が刊行され、ストーリーはおおよその完結をみている……らしい。見失った故郷・惑星アースを探し求めるアール・デュマレストの旅路の結末、ちょっと読んでみたい気もするが、はたしてどんなものだろうか。サイクランとの決着ついたのかなあ(笑)

ごやてんらしいイチャモンをつけてみると、邦訳を読んでいた当時、『~の惑星××』と統一されたタイトルが、ちょっと不満だった。まあ、原題だと途中、ヒロインの名前だけというのがやたら多いので(Kalin, Lallia, Mayenne etc.)やむなしとも言えるが、ちょうど刊行に追いついたあたりで入手した30、31巻のタイトルが『テラのシンボル』『真実の神殿』で、とうとうアールが地球の座標(に近いもの)を入手するあたりが、邦題だけ眺めているといまいちに思えたこともある。
でも、あれはあれで、かなり縛りのきつい代物だと思うので、考えたヒトはほんとうにお疲れ様でした、と言っておこう。

タブの作品としては、他にグレゴリイ・カーン名義で書かれたキャプテン・ケネディ・シリーズがある。邦訳5冊はハヤカワ文庫初期の刊行で、再版される様子は見うけられないので、実はわたしも未読(笑)

そして、ちょっとおもしろいのが、原作は17編存在するのだが、ドイツ語版Commander Scottは、1975・76年にかけて42編出版されていること。著者はすべてGregory Kern名義……。出版社所有の共同ペンネーム制は、ヘフト物にはよく見うけられる(ザモラ教授や、初期のシンクレアなんかもそうだ)のだが、これはまた豪快である。
(なおかつ、独版Wikipediaを見ても、タブ執筆作が18編になっているのがなんともw)

ケネディという名前はともかく、少々ダークヒーローじみたキャラクターは、ドイツ人の方にウケたということなのだろうか。

■Wikipedia:E・C・タブ

Posted by psytoh