エスタルトゥの十二奇蹟
そろそろ力の集合体エスタルトゥがハヤカワ版で登場する。十二銀河、十二銀河というけれど、実際に物語の舞台となるのは一部である。12の奇蹟(Wunder)もすべてが物語られるわけではない。……のだけど、30数年前にいろいろと調べたものである。要約集『エスタルトゥへの道』から『プロジェクト・メーコラー』にかけて使った訳語を簡単にまとめておく。
銀河名 | 銀河名(原語) | 奇蹟 | 奇蹟(原語) | 備考 |
アプザンタ=ゴム | Absantha-Gom | 災いを告げる蜉蝣 | Die Menetekelnden Ephemeriden | 1300話台中盤 |
アプザンタ=シャド | Absantha-Shad | スティギアの網打ち師 | Die Stygischen Netzfischer | (未登場) |
ダタバール | Dhatabaar | カリュブディスのシレーネ | Die Charybdischen Sirenen | 惑星小説284巻(マール) |
エレンデュラ | Erendyra | エリュジウム・リング | Die Elysischen Ringe | 1250話台 |
ムヤージュフ | Mujadjh | 覗き眼鏡のダナイス | Die Stroboskopischen Danaiden | (未登場) |
ムウン | Muun | 失われたヘスペリデスの贈り物 | Die verlorenen Geschenke der Hesperiden | 1300話台中盤 |
パルカキュア | Palcaquar | エメラルドの鍵月 | Die Smaragdenen Schlüsselmonde | Werkstattband収録「キーポイント」(フランシス) |
シューフ | Shufu | 興奮の商人 | Die Exzitablen Marketender | (未登場) |
ジオン・ゾム | Sion Som | 紋章の門 | Die Heraldischen Tore | 1200話台終盤 |
ジュラーガル | Syllagar | 歌うモジュールの輪舞 | Der Reigen der singenden, tanzenden Module | 1200話台終盤(1話のみ) |
トロフェノール | Trovenoor | オルフェウス迷宮のカリュドーンの狩り | Die Kalydonischen Jagden durch die Orphischen Labyrinthe | 1300話台序盤 |
ウルムバル | Urumbar | ヘリオスの金の雨使い | Die Heliophilen Goldregenmacher | Jubiläumsband7巻に収録(ヴルチェク) |
これらの名称は、ストーカーがテラのメディア相手に「ヴィーロノートよ、エスタルトゥへ来たれ!」と宣伝したもので、主としてテラナー向けにギリシア神話がモチーフとして使用されている。当然、現地名とは異なっている。
【例】
×失われたヘスペリデスの贈り物
○失われたエスタルトゥの贈り物
あとストーカー的には「大物狩りが楽しめまっせー」という宣伝で奇蹟扱いだが、トロフェノールの奇蹟はあくまでオルフェウス迷宮だと思うのだ。これ、現地ではプシオン迷宮と呼んでいる、とヴルチェクは書いているが、もうちょい後になると、テラ語由来のプシオンという言葉は十二銀河では使われない(マール)とか言い出して、ややこしいことになるのだけど。
発音については、英語とドイツ語ちゃんぽん読みが随所に見られるが、この頃はまだドイツ語優先だった。ハヤカワ版だと、おそらくエリュシオン・リングになるんだろうな、とか。シオン・ソムにすると重厚感イマイチ……つーか、あの鳥人種族はソマーあたりになるのかにゃあ。
あと、今回ググってみて笑ったのが、Heliophilieの扱い。東方神起一色(笑)
「陽光を好む」を好陽性とか好光性なんてやるとわけわかんないうえにギリシア神話も太陽神もどっかいってしまうので、当時はあえてヘリオス様単独でご出座願ったのだが。
09/05追記:
“災いを告げる”はギリシア神話ではなくて旧約聖書。ダニエル書記載の「メネ、メネ、テケル、ウパールシン」はそのまんま本編にも出てくるのだけど、メネしてテケる蜉蝣、だとちょっと意味が通じないのでやむなし。
テケリ=リ! ぢゃないよ?
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