訃報:ロルフ・ビンゲンハイマー
ロルフ・ビンゲンハイマー(Rolf Bingenheimer)
1946.08.25 – 2020.02.07
ドイツのSF書籍販売会社Transgalaxis社主、ロルフ・ビンゲンハイマー氏が今月7日に亡くなったとのこと。
自身SF作家でもあった父ハインツ・ビンゲンハイマーが、ドイツSFクラブ(SFCD)の通販部としてはじめて、2年後の1957年にTransgalaxis社が創設された。彼が1964年に41歳の若さで夭折した後、ロルフ氏はSFに特化した書籍取扱会社の草分けである同社を引き継ぎ、発展させてきた。
同社は、初期のローダン・シリーズにとっても、当時のSF読者にとっても、最重要のパートナーとなった。その絆が現在も継続しているのは、訃報を受けて編集長クラウス・フリックが公式サイトへ弔文を寄せていることからも明らかである。
わたしがTransgalaxisの名を初めて耳にしたのは、1990年前後、ファンクラブの恵比寿月例会でのことだと思う。中古のローダン・ヘフトを取り扱う通販会社、みたいなぼんやりしたイメージだけが記憶に残った。
当時のわたしは、神田三省堂の洋書売場でローダン・ヘフトを定期購読していた……というか、数ヵ月おきにまとめてドカンと届くのだが、これはどうやら、中央洋書というすずらん通りにあった洋書取次店が、ゲーテ書房を通して輸入していた(一度、伝票が混ざっていたw)もので、ある時点からこのラインが機能しなくなり、三省堂ではヘフトの購入ができなくなってしまった。
さあ困った……というときに、マガンが開拓してくれたのが、Transgalaxis社を経由しての原書共同輸入の道であった。もともとは井口さんら先人が開いた道だったのだが、ロルフ氏は快諾してくれて、長いつきあいがはじまった(注:わたしではなく、マガンが、である)。
言ってみれば、ロルフ氏は日本ではさっぱり姿を消しつつある個人書店の店主みたいなものである。こちらからの、アレが欲しい、コレが欲しいという無理難題にも可能なかぎり応じてくれた。代わりに、当時はまだ販路がなかったのか、ハヤカワ版のXXX巻手に入らないか、ローダン関係ないけど坂本九のCDが欲しい、みたいなバーター取引も存在したとかしないとか。まあ、イロイロあったらしい(笑)
渡欧経験のないわたしは、当然、一度もお目もじしたことすらないのだが、rlmdi.では「ビンちゃん」の通称で通っていた。通販の際には、毎回マガンと直接メールのやりとりをしていたのに、近年それがパッタリ途絶えていて、さすがにお歳がお歳だし、引退されたのかねえ……と話していたのだが。
心からご冥福をお祈りすると当時に――ありがとう、ビンちゃん。わたしのSF(ローダン)ライフは、あなたのご助力があったからこそでした。
■Transgalaxis:Impressum(奥付に掲載された訃報)
■公式Logbuch:EINIGE WORTE ZU ROLF BINGENHEIMER
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