ドイツSF大賞2014ノミネート作品発表

ドイツSF

ドイツSFクラブ(SFCD)が運営する公式サイトで、ドイツSF大賞2014年度のノミネート作品が発表された。対象は、ドイツ語圏において2013年に初版が出版されたもの。授賞式は7月12日のSFCD年次総会において行なわれる。

ノミネート作品は以下のとおり:

長編部門 Bester deutschsprachiger Roman:

Wolfgang Jeschke / Dschiheads / ジヘッズ
H. D. Klein / Drake / ドレイク
Karsten Kruschel / Das Dickicht – Vilm 3 / 藪 (『Vilm』第3巻)
Uwe Post / SchrottT / スクラップT
Sven Edmund Reiter / Traumzeitmonde / ドリームタイムの月
Heinz Zwack / Nebenweit (Nebenan unendlich weit) / 遠近トオチカ~キッパリ遠くてピッタリ近い~

『ドリームタイムの月』は2016年を舞台にした近未来SF。消えたアボリジニの部族の足跡をたどる言語学者ブリジット、〈ムーン・ジャーニー計画〉に参加する宇宙物理学者スティーヴン、南太平洋での調査の際に奇妙なゴンドウクジラの大量死に遭遇した地質学者ペーテルら、まるで関係がないように見えた事実の積み重ねが、人類すら脅かす大事件と化していく……。
どうやらタイトルの「ドリームタイム」は、アボリジニの創造神話がらみらしい。

『遠近』はパラレルワールドもの。ある日突然に、異なる世界にいることに気づいたジャーナリスト、ベルント・ルーカス。欧州での最後の大戦は150年もの昔。「この」世界でのドイツは、皇帝を元首に戴くドイツ同盟で、スペインからウラル山脈まで広がる欧州連邦(EF)の指導的立場にある。とまどうルーカスの前にあらわれたジャック・デュポン博士は、さらに、自分はルーカスの時代から1000年前に地球に墜落した隕石のためスコットランドの鄙びた渓谷以外で人類の死滅した世界(の未来)からやってきた、と告げるのだった……。
NEBENWEIT の仮題は、タイトルロゴを活かすカタチにできないかなーと試行錯誤した結果。意味的な方向性だと、『遠隣~果てしなく遠い隣~』になりそう。

短篇部門 Beste deutschsprachige Kurzgeschichte

Bettina Ferbus / Spuren im Sand / 砂中の足跡 / (収録:Enter Sandman)
Axel Kruse / Seitwärts in die Zeit / 横向きに時間流へ (収録:Seitwärts in die Zeit)
Michael Marrak / Coen Sloterdykes diametral levitierendes Chronoversum
      / コーエン・スロッターダイクの正対して浮遊する時間宇宙 (収録:Nova 21)
Tedine Sanss / Agnes / アグネス (収録:Die große Streifenlüge)
Merlin Thomas / Operation Heal / 癒し作戦 (収録:Blackburn)

「砂中の足跡」と「アグネス」は、それぞれ、メタリカ、ケイト・ブッシュの音楽を発想のネタとする企画短編集から。以前にはデヴィッド・ボウイの曲を元ネタにしたアンソロジーもあったし、こーゆーの好きなんかなドイツ人。

■公式サイト:www.dsfp.de

Posted by psytoh