訃報:グードルン・パウゼヴァング
グードルン・パウゼヴァング(Gudrun Pausewang)
1928.03.03 – 2020.01.23
Spiegel等ドイツ各紙の報じるところでは、23日にドイツの女流作家グードルン・パウゼヴァングが、入居していた老人介護施設で亡くなったとのこと。享年91歳。
パウゼヴァングは1928年にボヘミアのヴィッヒシュタドル村(現チェコ、ムラドコウ)に生まれる。第二次大戦後、家族とともに西ドイツに亡命。教育学を学び教職につく。
南米のドイツ学校等で教鞭をとった後、1972年に帰国しヘッセン州東部のシュリッツに居をかまえた。
彼女の活躍は児童文学の分野で高く評価される(2009年にドイツ児童文学アカデミー大賞、2017年にドイツ児童文学賞特別賞で、そのライフワークが表彰されている)が、冷戦下のドイツで核兵器が使用された世界を描いた『最後の子どもたち(Die Letzten Kinder von Schewenborn)』や、チェルノブイリの放射性物質漏洩事故に触発された『みえない雲(Die Wolke)』等、社会的な主題を扱った作品も多い。
特に『見えない雲』は、1988年のドイツ児童文学賞・ドイツSF大賞・ラスヴィッツ賞を受賞し、2006年には映画化されている。
上記2作を含めて、邦訳も多数存在する。
今回のニュースを知ったのは、「悲しいお知らせです:これまでクルト・ラスヴィッツ賞長編部門の栄冠を勝ち取った唯一の女流作家が亡くなりました。」という、ローダン作家ロベルト・コーヴスのツイートだった。
彼女の作品を読んで育った世代の作家も多かろう。永年の活躍に敬意を表し、そのご冥福を祈りたい。
■Wikipedia:グードルン・パウゼヴァング
■Stuttgarter Zeitung:„Die Wolke“-Autorin ist tot
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