セラフ賞2020受賞作一覧
ドイツでもコロナウィルスが猛威を振るい、出入国禁止や最低限の日常生活に必要なもの以外の店舗の閉鎖などが実施されている。一日も早い事態の沈静化を祈りたい。
月初に中止が決定されたライプツィヒ書籍見本市で授賞式が予定されていたセラフ賞だが、受賞作の発表はオンラインでおこなわれたみたい。14日付けセラフ賞公式サイトのトップやツイッターでも受賞作が掲載されている。
各受賞作は以下のとおり:
◆最優秀賞(Bestes Buch):
Christoph Marzi / Mitternacht / ミッドナイト
作者クリストフ・マルツィは1970年生まれ。マインツ大学で経済学を学び、現在はザールブリュッケンのギムナジウムで教鞭をとっている。
一方で15歳のころから短編小説を書いており、長編デヴュー作『リシダス(Lycidas)』はファンタスティーク大賞2005の新人賞を獲得。また2009年度には短編集『もう二度と(Nimmermehr)』が同賞アンソロジー部門も受賞している。
過去記事を調べてみたら、ノミネート後、対象期間外であることが作者の自己申告で明らかになったけど、そのまま受賞したという……ああ、アレか。
受賞作『ミッドナイト』は、この世界と触れ合う位置にある、魂たちの暮らす世界を舞台にした、書物の力と忘却の脅威にまつわる物語。物語と悪夢が商いの対象となるこの世界に、“ごくありきたりの少年”ニコラス・ジェームスがやってきたことから、すべてが変わる。彼の道は、すべての希望が生まれ、すべての夢が死に絶える場所、畏怖をこめて〈ミッドナイト〉と呼ばれる地へとつづいていく……。〔出版社紹介ページより〕
あー、前探したときなかったのに、いまAmazon見たらKindle版あるなあ。
#どこぞの春の半額セールに負けてポチりまくったばっかなんだよなあ(汗)
※なお、地名ということで仮題・真夜中からミッドナイトへと変更した。
◆新人賞(Bestes Debüt):
Bijan Moini / Der Würfel / ダイス
作者ビヤン・モイニは1984年生まれの法学者。博士論文「Staatliche Warnungen vor entlassenen Straftätern(釈放された刑事犯に対する国家の警告)」が2013年に書籍化されている。現在はシュピーゲル誌やフランクフルター・アルゲマイネ紙などに寄稿、とWikipediaにある。
小説家としては処女作の『ダイス』は、近未来のドイツを舞台に、フェイスブックとVRと社会信用システムと人工知能の統合体〈ダイス〉に管理された社会を描く。社会を円滑に運行するためにありとあらゆる個人情報にいたるまで収集する〈ダイス〉に抵抗したい28歳のタソ・ドフは、サイコロやコインを駆使して自らの行動の“計算可能性”を排除していた。ソーシャル・ポイントはほとんど得られないが、彼はその暮らしに満足していた……が、タソが一目惚れした女性ダリアはこれ以上ないほどの〈ダイス〉信奉者で――。
◆インディペンデント部門(Bester Independent-Titel):
Erik Kellen & Mira Valentin / Windherz / 風の心臓
『風の心臓』は〈光のかけら〉サーガ三部作(四部作としているサイトも)の第1作。すでに続編の『炎の刃(Flammenklinge)』も刊行済み。作者の一方ミラ・ヴァレンティンは、昨年のファンタスティーク大賞で『エンヤドルの炎』がノミネートされていた、Kindle-Story-Award2017(ドイツ)の受賞者。
北方人カイデン・ヴォルフハールは、誰よりも腕の良い海の狩人。だが、彼に与えられた任務はまったく思いもよらないものだった。アイラはヤンドールの王女。特異な才能は祝福と同時に呪いであり、王座は彼女にさだめられたものではなかった。
出自も立場もなにもかもちがうふたりに、全世界の命運が委ねられたことを知るものはなかった……。
■社団法人ファンタスティーク・アカデミー公式:Phantastische Akademie e. V.
■Wikipedia:Christoph Marzi
■Wikipedia:Bijan Moini
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