特攻野郎・宇宙チーム
〈宇宙遊撃隊(Das Weltraumteam)〉はウィリアム・フォルツによる(非ローダンの)SFショート・サイクル。1980年から1981年にかけて、当時月刊で出ていたペリー・ローダン・マガジンに連載された。全14回、10章までが掲載されたが、おそらく闘病などもあり、途絶している。完結までもっていく意向は漏らしていたようだが、残念なことである。
遊撃隊:
ファルカン・コル
――は、テラナーである。
アルコウト
――は、外星人である。
ニコルのスー・アン
――は、王女である。
コスキン・アルドウ
――は、提督である。
鋼狐ローガン
――は、ロボットである。
《スパイダー》
――は、宇宙船である。
西暦2837年、テラと叛逆した植民惑星のあいだの戦争は熾烈を極めた。外交面からの紛争調停をめざす絶望的な作戦のひとつとして、コスキン・アルドウ提督はその宇宙船《スパイダー》で、仲介工作を依頼すべくニコル王国へ派遣された。しかし年老い、死病に倒れたニコル王にできたのは、まだうら若いスー・アン王女を軍使として送り出すことだけだった。《スパイダー》が帰到したとき、テラとコロニーの艦隊は消滅していた。ソル星系は、何者も突破しえぬ濃密な物質ヴェールの陰に姿を隠していた。ボルドン人が銀河系を強襲し、地球をその橋頭堡としたのだ。彼らだけが、その黒い船をもって、自らの造り出した物質雲を往来することができる。彼らは地球から全銀河系を屈伏させんとしている。ソル系で、そして地球で何が行われ、またはたして人類が生きているのかを、知るものはない。ボルドン人は塵のヴェールに接近を試みるものすべてを破壊してしまうのだ。帰還のその瞬間から、《スパイダー》の乗員たちは謎に満ちた侵略者との戦いを開始した。わずか数年のうちに、アルドウ提督と《スパイダー》のわずかばかりのクルーは伝説的な名声を勝ちとり、また人々が畏敬をもって口にする異名をはせていた。
宇宙遊撃隊、と!
テラの叛徒たちの目標はただひとつ。ボルドン人の独裁を終わらせ、ソル系を包む塵のヴェールを突破して地球をめざすのだ……。
Kap. 1. Rebellen für Terra / テラの叛徒
Kap. 2. Botschaft aus der Ewigkeit / 永遠からのメッセージ
Kap. 3. Rückkehr nach Nikor / ニコルへの帰還
Kap. 4. Das Raumfort / 宇宙要塞
Kap. 5. Der Staubschleier / 塵のヴェール
Kap. 6. Der Zeitnomade / 時間放浪者
Kap. 7. Der Markt von Clanzey / クランゼイの市場
Kap. 8. Das geborstene Ei / はじけた卵
Kap. 9. Das Bordonnenschiff / ボルドン人の船
Kap. 10. Die Spur / シュプール
1984年10月刊行の『ウィリアム・フォルツ追悼号(William Voltz Gedächtnisband)』に収録されているが、その後電書版等が出た様子はない。未完だし、しょうがないのかな。
以下余談:
カンタロ・サイクルが開幕した当時、元ネタはこれじゃないか、という噂があった。故郷を包む難攻不落の壁、未知の侵略者……たしかにそれっぽい要素は見受けられる。サイクル後半、ローダンの眼前で太陽系が消失したあたりも、あー、と思った記憶がある。裏付ける証言等はないので、まあ戯言ではある。
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