テル女:誤訳チェック (2)
で、今回、いちばん泣けた誤訳である。
ハヤカワ版:(p150)
「生きのこる者はいるかもしれないが、あてにはできないだろう。いや、宇宙と、そこに生きる人々に遺産を託すことはできない。われわれの知識をうけつぐ者は、そこに内包されている危険に対する警告もうけいれなくてはならないから」原文:
“Es läßt sich nicht ausschließen, daß es Überlebende geben wird aber darauf wollen wir uns nicht verlassen. Nein, wir übergeben unser Vermächtnis dem Universum und den darin lebenden Völkern. Sie sollen unser Wissen erhalten und damit verbunden die Warnung vor den Gefahren, die es beinhaltet.”
語義:
Nein いや
wir われわれは
übergeben 引き渡す
unser Vermächtnis われわれの遺産を
dem Universum 宇宙に
und そして
den darin lebenden Völkern そこ(宇宙)に生きる種族たちに
Sie 彼ら(そこ(宇宙)に生きる種族たち)は
sollen べきだ
unser Wissen われわれの知識を
erhalten 受け取る
und そして
damit verbunden それ(われわれの知識)に付随して
die Warnung 警告を
vor den Gefahren 危機に対する
die 〔関係代名詞〕(=危機)
es それ(われわれの知識)が
beinhaltet 内包する
直訳:
いや、われわれは引き渡す、われわれの遺産を、宇宙に、そしてそこ(宇宙)に生きる種族たちに。
彼ら(そこ(宇宙)に生きる種族たち)は受け取るべきだ、われわれの知識を、そしてそれ(われわれの知識)に付随した、それ(われわれの知識)が内包する危機に対する警告を。
余計な装飾を排除して考えれば、
遺産を・宇宙と・種族に・引き渡す。
種族は・知識と・警告を・受け取る・べきだ。
となる。
試訳:
「生き残りがいる可能性も除外できないが、それをあてにはしない。いや、遺産を託すのは、宇宙と、そこに生きる無数の種族にだ。われわれの知識と、付随して内包される危機への警告とを伝えねばならぬ」
かれらはこの後、何をしようとしている? プリオール波動を介して遺産(知識と警告)を大宇宙の諸種族に伝えようとしているのじゃないか?(それは、失敗して、ヴリションの世代を待たねばならないわけだが)
頭にナインがついているだけで、ソベル人の決意を全否定してどーするの。話がそこで終わっちゃったじゃないか。
ディスカッション
コメント一覧
◆西塔玲司さま
このあたりはややこしいので半分読み流してましたが、うーむ・・・、ここは「これはひどい」とかタグをつけるべきところでしょうか・・・
どもです(^^)/ > 殿下
ゾサリオスさんの唯一の見せ場……とゆーか、ここでの「俺たちの生きた証を大宇宙に送信するぞ-!」という計画が、ソベル人という種の最後のあがきとしてひきつがれていくわけで。副産物として、女帝とかケロスカーとかヴァトロクスとかいろいろ生まれてますがw
すなおに訳せば、読者もすなおに読めるんですけどねえ。
おばんです。
最近思ったんですが、実は各翻訳者の原稿はそれほど悪くなくて、
編集が時間がないのに変に原稿いじって変な訳になってるような
気がしてしかたありません。
毎度どうも(^^)
その可能性があることは否定しません。そして、このサイトを見ればわかるように、こだわりのある人間がいじればいじるほど結果は悲惨です(自爆)
ただ、発行スケジュールなどを鑑みるに、編集がいじるとしても、訳語の統一と、キャラクターが別人になってないか、くらいにしとかないと、終わらないと思うんです。それでも月2冊とか終わらない気がしますけど……w いまどーやってるんだろーなー(棒読み
あと、商品として「○○訳」で出ている以上、文責は訳者さんだと思います。
「責任編集:だれそれ」とでもしていれば別ですけどねえ