嗚呼、先任将校よ何処へ行く

メモ

Der Erste Offizier /
先任将校、副長
(英語では executive officer / XO)

初期の松谷訳で、ジケルマン中佐を「《ドルスス》の先任将校」と称したように、副長的地位にある人物を「先任将校」と表記している例が見うけられる。最近、見なくなったなあ、と思っていたら、素直に「副長」と訳されていた。
……なんか、寂しい(わがままだな)。

多少調べてみたら、先任将校とは「部隊組織において、指揮官をのぞいた最先任の者」であり、正式に辞令がおりるわけではない、そうだ。上記《ドルスス》においては、当初ローダン自身が艦長であり、ジケルマンが副長的ランクにあったということになる。後、大佐に昇進してからは、ジケルマンが「艦長」なのである。
同格の将校(ないし下士官)が複数いた場合、古株なヤツがその場をシキるというのは、なんだかすごく日本人的な気がするのだが、欧米軍隊においても、ある種臨機応変というか、正式に副長が任命されない小型艦艇などでは一般的な制度であるらしい。

今回遭遇したのは、『恒星三角形の呪縛』に登場するウォルデン・キームラ。エクスプローラー船は、科学者が主体で軍人さんは少なそうなので、やはり「副長」が正しいと思う。でも、近代エクスプローラー艦隊は、なんというか軍艦バリバリな行動をとる輩が非常に多いので、いっそ先任将校でもよさそうな。
『Uボート』を訳した松谷先生だからこその訳語ではあるけれど、このまま消え去ってしまうのは、やっぱりちょっと寂しいのだった。

Posted by psytoh