NEOの第3期
ローダン・ヘフトが3000話を迎える2019年。6月にはNEOも200巻に到達し、第4期がスタートするという。前回まとめたのが第2期までなので、ここらで第3期を概括してみよう。
NEOにおける期(Epoche)は、いくつかの部(Staffel)――TVドラマ等でいう“シーズン”に相当する――が集まって構成される。とはいえ、従来のNEOでは、
第1期:フランク・ボルシュが草案担当
第2期:M・H・ブーフホルツとR・シェーファーが草案担当
第3期:R・シェーファーとR・ショルムが草案担当
という形で理解すればいい。
ストーリー展開としては、
第1期:アルコン人との遭遇から永遠の生命の星探索、アルコンによる地球占領と解放まで。
第2期:10年余の建設期を経て、メタンズの新たな蠢動に始まる銀河系の争乱。恒星ソルの〈カズマ(裂溝)〉の発見と、〈メテオラ〉を巡る〈それ〉と〈アンドロス〉の暗闘。110億のテラナーが第1期人類メメターの箱船でいずこかへ連れ去られる。
箱船騒動の折、メテオラ探索で留守にしていたローダンは、ルナや外惑星にいたためメメターに攫われなかった人々とともに、数年をかけて遠距離宇宙船《マゼラン》を建造。メメター、リドゥーリと続く第1期人類の系譜が残るアンドロメダへと進発するわけで。さて。
第15部 第二の島
アンドロメダに到着した《マゼラン》は、大破した長距離遷移グライダー機関修復の資材を調達しつつ、この“第二の島”の現状を知っていく。12人の〈島の王〉が、リドゥーリの末裔たるテティサーを補助種族として呵責なき支配体制を築き上げた銀河。パドラーやモドゥル人バール・ルン、恒星転送機でこの島宇宙に迷い込んだメハンドール(旧スプリンガー)たちとの邂逅を経て、やがてコンタクトした島の王の頂点ファクターI。だが、惑星マルティドンでの会談は破壊工作のため中断。緊急脱出した《マゼラン》は追われる身となる。
マルティドンでは、ミロナ・テティンのそばにアルコン人アトランが……。
#テュイレ・シタレーはマルティドンで消息を絶ち、奇妙な顛末のすえ17部で再合流する。
第16部 ミロナ
アトランがひそかに送信したデータから、ローダンはミロナ・テティンの過去と、超知性体〈それ〉とアンドロスの間で続く宇宙チェスについての背景を知る。また、逃走の途上、ローダンは恒星ソルとアンドロメダの恒星ハリトとの間に広がる〈大断裂〉の向こうからの侵略者とされる〈クレア〉と接触。その際にテラナーが伝えた“友情”の概念が互いの誤解を解く礎石となる。クレアたちの側も、アインシュタイン宇宙から侵攻を受けたと認識しており、互いの宇宙間で交換された物質が相手の宇宙においては災害を招いている事実が判明したことで致命的な交戦は回避される。また、アンドロスの情報に虚偽が混在していたことを憂慮したミロナ・テティンが銀河系との抗争を一時棚上げすることを提案。《マゼラン》は恒星転送機で帰還する。
〈ファクター・ゼロ〉となったアトランと、重傷で動けないジョン・マーシャルは大使としてアンドロメダに残留する。
#異宇宙生命体クレアであるが、ドルーフ+アッカローリー→恒星エンジニア風味とでもいうか。クレア宇宙での時間経過は、アインシュタイン宇宙の17000分の1となる。
第17部 ブルー人
転送機の誤作動か、予定された銀河系中枢部ではなくイーストサイドに物質化した《マゼラン》は、この星域で抗争をくりかえすブルー人(アザラク)に侵入者として追われることになる。その途上、クレア宇宙からの渡来物質クレールが異常に集中した巨大惑星モロクの衛星イムポスで、110億のテラナーを乗せて姿を消したメメターの箱船《アヴェダナ=ナウ》が難破しているのを発見する。調査の際、イムポス地下にメメターの施設が存在することが発覚。かつてメメターは、クレールの集積から生まれたスーパーヘテロダイン存在(スープラヘト)をイムポスを始めとする42の衛星システムで封印したという。だが、箱船の墜落の際、地下施設の一部が破損したためシステムが停止。スープラヘトは覚醒しつつあった。
ティフラーによってアザラクたちの不治の業病〈黄色の病〉の治療法が発見されたため、彼らの協力も得て、墜落地点からの箱船の再離床は成功。ローダンとシタレーは、活性装置のエネルギーを用いてメメターの施設を再起動し、スープラヘトを再封印する。
箱船に同乗していたメメターたちによって、恒星ソルの放射線は再調整され、テラの再入植が開始された。
#NEOにおけるティフラーは“医師”である。黄色病は、モルケックス精製のために幼少期、旧ヘフトでいうB-ホルモンを抽出されたことが遠因となる。
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……そして、現在進行中の第18部〈同盟〉編においては、ローリン(ナイール)によるソル系侵攻に始まる、新たな〈同盟〉の活動に対抗するローダンたちが描かれる。
さて、NEO宇宙では、ごく初期の頃から〈闘争(Ringen)〉と呼ばれる高次勢力を背景とするドンパチが示唆されてきた。ただし、最初のうちは「ヒューマノイドvs非ヒューマノイド」という漠然としたものだった。過去のメメターとけだもの、現在のアルコン人とマークスを始めとするメタンズの抗争も、この流れに沿うものとされてきた。
第2期になると、〈同盟〉で重要な役割を果たす黄金人というヒューマノイドが出てきたりして、おや? となるのだが。このあたりから、超知性体〈それ〉とアンドロスの対立が争いのバックボーンとなってくる。
それが第3期になって、より明確にされたのが〈宇宙チェス〉という表現だ。〈それ〉とアンドロスを指し手とするこのチェスゲームにおいて、〈同盟〉は明らかに後者の駒である。
また、互いの争点となっているのが恒星ソルとハリトのはざまに広がる〈大断裂〉で、これはアインシュタイン宇宙とクレア宇宙をつなぐ要因となっており、〈それ〉はどうにかこの亀裂を塞いでしまいたい。反対にアンドロスはこの状態をさらに推し進めるべくスープラヘトの増産を目論んだりする。
190巻『アンドロス来たりなば…(Als ANDROS kam …)』では、これまで回想シーンとか伝聞形ばかりの登場だったアンドロスが、とうとう表舞台に出てきそうな雰囲気。第19部、〈同盟〉最凶最悪の生物兵器・けだもの編という第3期のラストスパートに向けて、諸々解決するのだろーか。
以下、余談:
前々から、「NEOのアトランがローダンと親友って、あり得ないよねー」とマガンに云って失笑されていたのだが。だって、1万年地球に島流しでもなし。金星で決闘したわけでなし。それが、旧ヘフト版の悲恋から一転ミロナさんとくっついた(これは、長年のファンである草案作家の温情なのだろうが)結果、出番皆無となっていよいよ存在価値があやうくなってきた。
だって、ヘフト版だったらアトランが務めたであろうローダンとの昇天コマンド、全部テュイレ・シタレーの役割なんだもの……(笑)
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