VPM、出版部門縮小

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ローダンの出版元であるVPM……パベル・メーヴィヒ出版連合社の成り立ちは、わりと複雑というか。エーリッヒ・パベル社とアルトゥア・メーヴィヒ社と出版連合の合併したもの……であったはず。んで、ハイネが親会社だと思っていたのだが、実はバウアー出版グループの100%子会社なのだった(ハイネはランダムハウス系列)。バウアー・グループは、TVやラジオにも出資しているが、メインは新聞のようで、ドイツ国内外で152種類の新聞を刊行しており、「ドイツ人の2人に1人はバウアー・グループの新聞を読んでいる」と豪語している(笑)
ただし、ドイツでいう新聞(Zeitschrift)は、たぶんに日本における雑誌的な意味合いも含まれる様子。おそらくTV雑誌とか、クロスワード雑誌とかも、ドイツでは「新聞」に分類されるだろう。

話を戻して:VPMのVにあたる出版連合も、元々は新聞(雑誌)関連の出版・印刷の中小会社の連合体であったと思われる。VPMの業務は、「新聞刊行」「印刷」「書籍出版」の3部門があり、書籍刊行を担当するのが、VPM傘下のメーヴィヒ書籍出版(Moewig Buch Verlag)であるわけだが……
12月1日付けのローダン公式サイト、クラウス・フリックのLogbuchのタイトルは「メーヴィヒ書籍出版はもう新刊を出しません」というショッキングなもの。VPMは「本業」である新聞関連に注力し、書籍出版から事実上撤退することになったという。
「ただし、ペリー・ローダンは対象外」というサブタイトルがなければ、えらいことになっていた。まあ、ローダン・ヘフト自体は「新聞」に含まれるはずだから、即廃刊ということはありえないわけだが、合本であるシルバーバンドとか、その他ローダン関連の書籍が一切出なくなったら、あまりに寂しい話である。
「詳細がわかり次第、読者の皆さんには早急にお知らせします」とはフリックの弁であるが、なるべくなら明るいニュースにして欲しいものだ。

ドイツでもSF業界は不況というか、多くの老舗が撤退して、いまやハイネくらいしか踏ん張っているとこは見あたらない状態。ローダンはともかく、VPMの書籍部門撤退も、やむなしとはいえ、残念な話である。

■公式Logbuch: Moewig Buch Verlag publiziert nicht mehr (リンク切れ)
Pabel-Moewig Verlag
□Heinrich Bauer Verlag (リンク切れ)

2019/06/12追記:リンク切れ等確認のためいまVPMの社歴を見ていたら、どうもV「合同出版」P「パベル出版」M「メーヴィヒ出版」が89年に合併、2001年にパベル=メーヴィヒ出版に改組(略称は変わらずVPM)。本記事の案件は、傘下のメーヴィヒ書籍出版がエーデル・エンターテインメント出版に買収されたというのが実態。その後もVPMはVPMである。

Posted by psytoh