最愛の凸凹コンビ

ローダン

現在発売中のハヤカワ版『オクストーン人と提督』で、おもむろに惑星ヴィグパンダー出身のヴィグパンダー種族シャーアドル=オフ(Shahadl-Off)なる人物が登場する。
まあ一発キャラで続刊での再登板はないわけだが、ローダン宇宙には、実はもうひとりヴィクパンダーが存在して、そちらはかなりの重要キャラである。エーヴェルス持ちキャラのひとり、といった方が通りがよろしいかもしれないw
#余談だがどちらも女性なので、原語はVigpanderin。

ネイタドル・オフ (ATLAN710話)
© Pabel-Moewig Verlag

当該ヘフト1221話は1985年刊行。懐かしいかな、三省堂書店で最初に購入したヘフトの1冊である……が、それはどうでもいいチラ裏で、当時の本国ドイツではまだATLANヘフト・シリーズが健在で700話を迎えようとするところ。
それからまもなく、ATLAN709話「モジュールマン」において、惑星ジッサスの時間廟(Zeitgruft/時間地下庫)で停滞フィールドに封印されていたモジュールマンことゴマン=ラルゴ(Goman-Largo)を解放するのが、ヴィグパンダーのパラ時間歴史学者ネイタドル=オフ(Neithadl-Off)だ(双方、この巻が初登場)。

ティガノイ種族のゴマン=ラルゴは〈ルーフの時間校〉で訓練をうけた時間スペシャリストであり、遺伝子工学的に〈モジュール〉を埋め込まれたモジュールマンである。ティガノイは〈時間外科医師団〉を敵としており、ラルゴはその手中に落ちていたわけなのだが……。
とある銀河でフィールディングをしていて、ひょんなことから官憲に追われて不時着した惑星で出会ったプロスペクターから惑星ジッサスの時間廟の存在を知ったネイタドル=オフは、すったんもんだのあげく遭遇した時間外科医をまるめこんで時間廟へ立ち入り――
ゴマン=ラルゴに一目惚れする(笑)

1221話でヴィグパンダーをどう描写しているかは未確認なのだが、要するに、トランポリン・サイズ(2.3m×1.6m)のムカデである〔イラスト参照〕。ティガノイはふつーのヒューマノイド。美的感覚どーなってんの!? と思うよねw

ともあれ、またまた時間外科医をそそのかしてゴマン=ラルゴを解放(時間外科医はとーぜんやられた)したネイタドル=オフは、「おお、わたしの最愛よ!(Meine Große Liebe!)」とかなんとか(大声で)囁きながら、時間スペシャリストのひっつき虫となる。
この凸凹コンビ、翌年エーヴェルスがATLANシリーズの草案作家(ペーター・グリーゼと分担)となったこともあって、ペリペディアのNeithadl-Offの項を見れば700話以降のストーリーのほぼ半分がわかる(?)という主役キャラっぷりである。800話「時間病塞」なんてこのコンビが主人公だ。
アトランに対しても「アトランちゃん(Atlanchen)」と小僧呼ばわりの大物ぶり。よくわからないホラ話――“パラ時間”でのできごとか?――をぽろぽろ漏らす、なんだか対処がむずかしいオバちゃんというのが、個人的にはネイタドル=オフの印象だったり。

そして、なにがおそろしいって、このコンビ、〈星の暗黒兄弟〉との決戦まぢか、融け合って〈キングロリー〉なるヒューマノイドを形成するのだ。“最愛より生まれし子(KINd einer GROßen LIebe)”の意味だそうな。
……愛ってこわい(爆)

■Perrypedia:Neithadl-Off
■Perrypedia:Goman-Largo

Posted by psytoh