ローダン外伝:ポケットブック・シリーズ
ローダン外伝のポケットブック・シリーズ(Perry Rhodan-Taschenbuchserien)は、主にグループ会社であるHeyne社から刊行された、ポケットブック型のシリーズ。旧惑星小説を指すローダン・ポケットブックス(Perry Rhodan-Taschenbücher)と酷似しており、大変まぎらわしい(笑)
2002年スタートの『アンドロメダ』から2011年の『ジュピター』まで、ほぼ年1シリーズ。巻数は1~6冊と様々。多くは合本・電子書籍化されている。また、ペーパーバック時の表紙イラストの大半は、元・ローダン断面図解作家であり、現在は『インディペンデンス・デイ』や『スパイダーマン・ホームカミング』などでプロダクションデザインを手がけるオリヴァー・スコールである。
アンドロメダ
- 燃える船 (アントン)
- メタン呼吸種族 (ヘーンゼル)
- 無重力列車 (ルーカス)
- 星に耳をすます者 (ベーメルト)
- 影の鏡 (ボルシュ)
- 時間都市 (ヴルチェク)
新銀河暦1312年。〈トラドム帝国〉サイクル中盤。ゼーレンクヴェルとの戦いの過程で誕生したモノクローム・ミュータントの精神集合体〈ニュークリアス〉の使者キリアーデにより、アンドロメダに迫る危機を伝えられたローダンは追跡巡洋艦《ジュルネ》で急行する。
到着直後、アンドロメダは時間バリアによって外界と隔絶。ローダンは強力な“燃える船”ことカストゥン艦隊とサイボーグ部隊ギュ・エネーイを率いる〈黄色の王〉の侵攻に立ちむかうため、テフローダーやマークスを糾合しようと奔走するが……。
黄色の王が2000話台でエスタルトゥ(第一期)を殲滅した(《ソル》とも交戦する戦士種族ムンデーンを派遣した)超知性体ク・ウーガルのなれの果てであるとか、並行して進む2100話台の敵〈理性の異端審問〉が実は本作で活躍した《ジュルネ》メンバーのなれの果てであるとか、エグい意味で相当凝った造りになっている。フェルトホフ草案。
オデッセイ
- 未来の植民者 (ヘーンゼル)
- 秘密戦争 (ルーカス)
- エネルギー礁 (クナイフェル)
- ドリーム・カプセル (ベーメルト)
- 輝ける帝国 (ボルシュ)
- 生命の使者 (アントン)
2199話で、トレゴンと無限架橋をめぐる事件の閉幕にともない、惑星トロカンと入れ替わる形で太陽系第四惑星として復帰した火星――に酷似した赤砂の処女惑星・新火星。新銀河暦1329年、入植者の一団とかの地を訪れたローダン、ブルらは、奇妙な高次元性障害で意識を失った際、10億年の未来に転移してしまう。この時代でヴァーリゴと呼ばれる銀河系は、斜陽の宇宙に新たな生命の息吹をもたらす〈大群〉として生まれ変わろうとしていた。テラと火星はその制御惑星バランス=A、バランス=Bとなる。だが、一致協力して大計画に邁進するかに見えた種族連合にも、おのが野望のため、大群を手中におさめようとたくらむ者たちが存在した……。
この時護衛として同行しているフラン・イミスさんは、旅のあいだにブリーと親しくなり、現在時に帰還した後、正篇で結婚式をあげる。フェルトホフ草案。
レムリア
- 星の箱船 (ボルシュ)
- 幾星霜眠れる者 (クナイフェル)
- 世代のエクソダス (ブラントホルスト)
- 最初の不死者 (ルーカス)
- レムリア最後の日 (ツィーグラー)
- ロンゲスト・ナイト (ヘーンゼル)
新銀河暦1327年、レムール時代の“箱船”《ネタク=アクトン》が発見される。5万年に渡り、亜光速で星の海を飛びつづけてきた世代船は、すべてで44隻あるという。そのエクソダス計画の背後には、細胞活性装置を持ち、時間転送機で過去へ遡ったレヴィアン・パロンなるレムール人の存在があった。また運命のいたずらか、時を同じくして、けだものの兵器敞惑星がめざめ、クローン培養を開始していた。
全巻ちゃんと読んでないので、イホ・トロトが滅亡間近なレムールに転移して何やってたのかよく知らないんだ……ごめんよ……。でもこの時代、あっちもこっちも時間転送機使ってりゃ、そりゃトラウマ持ちなウレブは攻めてくるわな……。草案はヘーンゼル。
パン=タウ=ラ
新銀河暦1341年、超空間インピーダンスの上昇を“コスモクラートによる攻撃”とみなした(あながち間違っていない)ルーワーの艦隊が銀河系に集結。胞子船《パン=タウ=ラ》を通常空間へひきずり落とすべく、多方面で戦線を展開。そして、ペリー・ローダン死すの急報が銀河系を揺るがした……!
そして別の時間線のバヤちゃんとか出てくる。草案はフランク・ボルシュ。全3巻。
ポスビ戦争
- 難船帝国 (ターナー)
- ラール人の星 (ルーカス)
- 宇宙船の墓場 (ハルトマン)
- 十億殺し (ヘーンゼル)
- プシ=ファブリ (ベーメルト)
- 創世マシーン (アントン)
新銀河暦1343年、ペリー・ローダンは〈それ〉の使者、メタルマン=ロト・ケレーテにクエリオン技術の〈銀球〉を授けられ、500万光年離れたアンブリアドル銀河(IC 5152)へ飛ぶ。ハイパー嵐によって外界との交通のとだえたアンブリアドルは、ハイパー次元アトラクターによって、さまざまな銀河でハイパー嵐のトリョルタン喉に呑み込まれた種族が漂着・定住していた。テラナーの末裔アルテラナー、マークス、ラール人、そしてポスビ……。ケロスカーの開発した〈七頭回路〉によって憎悪回路を中和されたはずのポスビが侵略をはじめ、すでに数十年続く〈ポスビ戦争〉を終わらせよ、というのだ。
わずかばかりの協力者とともに調査を進めるうち、テラナーはこの銀河に眠るコスモクラートの超マシーン《トラグトドロン》の存在を知る……。
終末戦隊トライトアの侵攻がはじまる1年足らず前。そして混沌の進撃はアンブリアドルにも及び、テルミオクのもとへ運ばれたはずの《トラグトドロン》も前線に再登場する。フェルトホフ草案。
作家・編集者・SF研究家として著名なアルパース、唯一のローダン参加作品。
アラ=トキシン
新銀河暦1340年、惑星タフンを訪れたローダンとティフラーは、アラスの暗殺者によって誘拐される。ふたりは「アラ=トキシン(アラスの毒薬)計画」の情報を探る暗殺者に心ならずも協力。アラス伝説の名医モーの狂信者たちが企てる“毒薬”はあらゆる生命を根絶やしにし、モビーのような鉱物疑似生命へとつくりかえる。そして、すべての背後には叛逆の島の王アセト=ラドルの存在が……。
暗殺者71号ちゃんは、後にティフラーの恋人として正篇にも登場する。ターナー草案。
赤い宇宙の帝国
- 化石都市 (ターナー)
- ドルーフォンへの鎮魂曲 (モンティロン)
- 未来の砦 (ファンデマーン)
新銀河暦1344年、トライトアの侵攻の前にテラノヴァ・バリアによる籠城が続くテラで、ローダンは突如異宇宙へ転移させられる。かつて構造漏斗から太陽系にも侵攻したドルーフの赤い宇宙。時間経過の速度が西暦21世紀に比べ飛躍的に早くなっているという異時間平面に、トライトアへの対抗手段開発の時間を稼ぐべく送り込まれた惑星コペルニクスの科学者たち。だが、主観時間で2000年が経過し、独裁国家へと変貌した“赤い帝国”は通常宇宙への逆侵攻をもくろんでいた! 捕らえられ、VR空間〈メンタル・シンポジオン〉に閉じ込められたローダンは、はたして脱出の、帰還の、逆転の機会をみつけることができるのか?
1971年のエラートとか絡んで、時系列がもうぐっちゃんぐっちゃんである。ファンデマーン草案。
テフローダー
- 遺伝子の封印 (モンティロン)
- 星風の帆船 (ターナー)
- 千の世界の都市 (ファンデマーン)
超知性体コルトロクを倒し、トライトアを撃退してから百年余。銀河系諸種族はそれぞれに復興をなしとげていた。テフローダーとブルー人の一部が建てた小国家〈トランス遺伝同盟〉における極秘プロジェクト〈ヴォーテクス〉が噂を呼んでいた新銀河暦1458年、ローダンはその公開テストに招待される。〈リニア・ヴォーテクス〉とは特殊なブイを配置してリニア空間に鉄道のような航路を敷き、HIショック以前に匹敵する高速度を実現する技術だった。だがテストは事故のため頓挫、ローダンとヴォーテクス・パイロットのカーディル・クレーは1100万光年離れたちょうこくしつ座の銀河ゾモートに漂着してしまう。現地で“カネをもたらす悪魔”と怖れられる奴隷商人チャ・パングと敵対しつつ、帰還の方策を探るが……。
このカーディルさんが、ファリエさんのおばあちゃんに当たる。後、駐テラ大使として正篇にも登場。ファンデマーン草案。
ジュピター
作家3名共著による全1冊。
新銀河暦1461年(スターダスト・サイクルのちょっと前)、“超能力を呼びさます”麻薬〈タウ=8〉が問題になる。ローダン自身も乗り出した調査の手は、入植三千年祭の迫る、木星の衛星ガニメデのメルリン商館へと続くが……。
この外伝、カイ・ヒルト加筆によるヘフト版ミニシリーズ全12話も存在し、そちらにはマンチェスターに住む、カール伯父の末裔が登場する。ファンデマーン草案。
暗黒惑星
星墓/ジェネシス・サイクルの空白期間(1536年?)。これのみBastei社からの刊行。時期も2019年とかけ離れている。全3巻。
アトプ法廷が別の時間線に去った後、残留した一部のオンリョン人が暮らす暗黒惑星ジョリオナを訪れるローダン。古代地球の現住種ケーロウトの手がかりを求め、播種船の残骸が眠る暗黒惑星スティクスを訪ねるブガシドフ。植民惑星で発生した超能力犯罪を捜査して暗黒惑星にたどりつくモンキー。
タイトルからして、微妙にからみ合う展開が予想されるが、概略設定のみで、草案作家は不在らしい。
以後、というか『ジュピター』から少しの空白をおいて、2014年からは現在まで続くヘフト版「ミニシリーズ」がスタートするのだが、それについてはまた機会を改めて。
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