テル女:用語チェック (1)

ハヤカワ版, 誤訳

800話『テルムの女帝』の照合は、複数回に分けておこなうが、

(1) カラジアン編  人類I ~ 過去II
(2) ヴリション編  人類III ~ 創生III
(3) 超知性体編  人類IV ~ 人類VII

くらいの感じでいこうかと。
第1回目の今回は、(1) カラジアン編の用語一覧である。

■ 場所
ゴルガトヌル銀河 Galaxis Golgatnur
セールコシュ星系 Seerkoch-System
ブロスト Blosth
ソベル人 Soberer

■ 人物
カラジアン Callazian
コストロイ Kostroy
ヘイセル Heysel
ゾサリオス Zosarios
無性者 Geschlechtslose
アーカイヴ管理者 Archivverwalter
竜騎兵 Dragoner
ティオトロン工学者 Tiotroniker

……なんでゾサリオスだけ読みが変なのかはよくわからない。
ソベル人が魚の末裔かトカゲの末裔かは不明だが。「竜」騎兵というから爬虫類型か。
ティオトロン科学者、よりは、ポジトロン工学者に倣って、という程度。

■ 科学技術
ティオトロニクス Tiotroniken
搬送射路 Transportstrahlen
クリオール射路 Cryor-Strahl
ドリソール射路 Drysor-Strahl
プリオール波動 Prior-Welle
居住ケトル Wohnkessel

……光路、という訳は悪くないと思う。つーか、かっけー。あえて変えてみたのは、地下鉄を駆逐したこの技術、たぶん転送機(超光速ベース)である。

「プリオール」は、ラテン語で「第一の、(優)先の」で、プライオリティ(優先度)とかと同根。あえて意味のわかりづらい英語読みで、ペンチっぽくしなくてもいいはずだ。せめて第一波動とかだったらなー。

Kessel は「鍋、釜、盆地」で、それなりに建物の形が想像できるはず。

■ 情報化社会
〈ティオトロニクスの秩序〉die tiotronische Ordnung
情報不与者 Informationsunwürdige
非情報 Uninformation
義務ニュース Pflichtnachrichten
ティオトロン情報壁 tiotronischen Wände
潜在意識インフォ Unterbewußtseinsinformationen

……ティオトロニクスの「秩序」は、今後のフォルツ話でキーとなる「宇宙秩序と混沌の二極対立」のかたわれ。もう一方をカオス、カオスと連呼しているのは、ちょっとさびしい。
情報不能者、という訳語はすっきりしていていいと思うが、これって「子供とお年寄りは免許の対象外」なので、もうちょっといい訳ないかなあ。昔の同人訳では「情報不適格者」にしたが、長いよねぇ。
非情報は、非(取扱)情報なのかな。昨今では個人情報として非開示のものも含まれるけど、非(開示)情報にしては、わりとよろしくないイメージもありそうだし。不(可触)情報かもねえ。
最後の3つは――ハヤカワ版には存在しない。まあ、カラジアン編以降には登場しない用語だし? めんどくさくなる気持ちもわからないではない……けどね。あんなひどい誤訳さえしなければ。

と、いうわけで、次回はカラジアン編本編の照合。

Posted by psytoh