ラスヴィッツ賞ノミネート作に関して

ドイツSF

すっかり放置気味だが、現在クルト・ラスヴィッツ賞2011年次が、2010年刊行の作品を対象に選考を進めている。
dinfoに丸投げして、ノミネート作品の一覧は(一応)紹介済みだが、今回はその中で長編部門の作品について。タイトルだけじゃどんな内容かわからんよなあという貴兄に、主にAmazon.deで紹介されているさわりの部分を、さらに要約した感じでまとめてみた。

Stefan Blankertz / Der Lamo-Kodex / ラモ法典 (Edition Phantasia)

――3600年前、激しい火山の噴火のすえ、アトランティスは海に沈んだ。生存者たちは、見も知らぬ不毛な〈内世界〉に漂着。以来、彼らは〈外世界〉へと戻る道を探しつづけたが、やがて成し遂げられた科学の発展とともに、外世界探索者は嘲笑や、いわれのない迫害をうけるようになっていった。そんな外世界探索者に、主人公ラモは、成人の祝いと同時に任命される。そして、ごくわずかな協力者とともにラモが見出した〈外世界〉は、予想だにしない不毛な場所だった……。

Andreas Brandhorst / Kinder der Ewigkeit / 永遠の子ら (Heyne)

――殺し屋エセビアンは、血生臭い生活に飽いて足を洗った。いまの彼は科学者であり、高価な“不死”を贖う道こそ困難なものとなったが、望んだ平穏な生活を手に入れた。だが、そんなエセビアンに、ある強大な存在が、銀河最重要人物の暗殺を強要してきたのだった。

Marcus Hammerschmitt / Yardang / 風紋 (Sauerländer)

――エンジニアである父が、実はヤルダン星系に地球からの独立を勝ち取ろうとする反乱組織の一員であることを知ったシルヴィアンは、味気ないステーション暮らしと、いけすかない父からおさらばするため、反乱組織が戦いにひきこもうとしている小艦隊の1隻を、仲間たちをかたらって乗っ取ることに成功した。だが、その結果、彼らは反乱組織と、事態を察知した地球当局との双方から追われる身となったのだった……。

Uwe Post / Walpar Tonnraffir und der Zeigefinger Gottes
/ ヴァルパー・トンラッフィルと神の人差し指 (Atlantis)

――神の人差し指が地球衛星軌道に出現した。宇宙探偵ヴァルパー・トンラッフィルは捜査を開始。くずシンガーや、弁護士の大群、あやしげなカルト予言者らが、物体の意味や所有権について係争をはじめる一方で、しかしヴァルパーは、DVD依存症の甥や冒険大好きな元・義理の母、フリーランスの女殺し屋等々、独自の問題にふりまわされていた……。

Thomas Thiemeyer / Korona / コロナ (Knaur)

――赤道直下でありながら、氷河を頂くウガンダの高山。生物学者エイミー・ウォーカー率いる研究チームは、調査行の際、没落した高度文明の廃墟を発見。一大センセーションを巻き起こすであろう発見だったが、彼女たちをさらなる予想外の自体が待ち受けていた。暴走する自然法則、狂ったような太陽の動き……エイミーたちは、異次元への門を踏み越えてしまったのだ!

Michael Marcus Thurner / Plasmawelt / プラズマ惑星 (Heyne)

――ローダン作家ターナーの、独立した商業作品第2弾。
半サイボーグ、グラモ・ダーン15は、荒涼とした惑星マレクを移動する都市カマンダルの最下層民。厳格な階級社会を営む都市の地下深くで働くグラモは、仲間の労働者と異なり、好奇心のかたまりだった。自らの素性をはじめ、彼が知ることを欲した数々の秘密は、やがてグラモを、惑星を揺るがす陰謀の渦中にまきこんでいく……。

と、まあこんな感じ。やっぱりタイトルだけじゃ内容は予想できないもの。
とはいえ、もちろん、女戦士の紹介だって、中身の実態が確実に反映されているかといえば、そうとは限らないのも当然のことだ。実際はどんなものなのかにゃあ(をひ
個人的には(偶然、マガンとも一致したのだが)、『~神の人差し指』が、あまりにも唐突な舞台設定に興味をひかれてしまった。だいじょうぶなんだろか、この探偵さん……。
一方で今月末まで、ファンタスティーク大賞の予選(ノミネート作品を決める投票)が開催されているし、そちらはどんな作品が挙げられるか、これまた楽しみである。

Posted by psytoh