訃報:コンラッド・シェパード

作家情報

コンラッド・シェパード (Conrad Shepherd)
1937.11.03 – 2020.07.01

7月27日付けPhantastik-Newsの記事によると、ローダン作家コンラッド・シェパードが7月1日に亡くなったとのこと。享年82歳。

本名コンラート・シェーフ(Konrad Schaef)、PNはそのまま英語に置き換えたもの。

機械工学を学び、おそらく米軍基地で働いていたシェーフは西側のSFに触れ、ファンジンMUTANT(ミュータント)の発起人に名を連ねたり、10代の頃からその筋の人ではあったようだ。
1960年、Roy Chesterのペンネームでデビュー作『不気味な円錐(Die unheimlichen Kegel)』がErich Pabel社よりUtopia-Großband叢書120巻として刊行。Wikipediaの記述によると、同叢書用に先行して売れた『帰還(Rückkehr)』という作品があったそうだが、こちらが刊行されることはなかった。このへん、ダールトンのデビュー作『夜空のUFO』のエピソードを彷彿とさせる。

1967年、当時ご近所にハンス・クナイフェルが住んでいた縁で(笑)ローダン・チームに招かれるが、わずか3編のみの発表に終わる。実際にはもう1本、M-87漂着あたりの作品が仕上がっていたらしいが、採用されなかったとのこと。
後、1974年にフォルツの招聘でATLANシリーズに参加するも、こちらも3編のみである。

その後、犯罪小説や機械工学の専門書の執筆・翻訳などの傍ら、ワールドクライム2000やレン・ダークなどのSFヘフトにも数多く執筆しているし、ライバル社でSFヘフトの草案をつくったり(未発表)しているあたり、クルト・ブラントと経歴が似ている。
ただ、ブラントほど決定的な決裂でなかったのか、長生きしたことがプラスに働いたのか、80年代にシリーズ25周年記念のワークショップ本(Werkstattband)に参加したことをはじめ、90年代の後半に惑星小説(これもまた3作)を執筆したり、新たに立ち上げられたスペーススリラー・ブランドの4巻を担当している。
#この頃には本名で執筆。

作品数こそ少ないものの、長期にわたりシリーズに寄与した人物であることは間違いない。謹んでご冥福を祈りたい。

公式Info:Conrad Shepherd
Perrypedia:Conrad Shepherd

Posted by psytoh