セラフ賞とは
ラスヴィッツ賞などの候補作を調べていて、たまに見かけるセラフ賞(Seraph)。
社団法人ファンタスティーク・アカデミー(Phantastische Akademie e. V.)が毎年ライプツィヒ書籍見本市にて表彰をおこなう、ドイツ語圏の作品を対象とした文学賞。2012年に創設され、最優秀賞(Bestes Buch)と新人賞(Bestes Debüt)の他、インディーズ部門の表彰がおこなわれることもある。
今年(2019年)のライプツィヒ書籍見本市は3月21日~24日に開催されている。
受賞作及びノミネート作は以下のとおり:
最優秀賞:
Bernhard Hennen / Die Chroniken von Azuhr – Der Verfluchte
/ アズール年代記:呪われし者
Tom Hillenbrand / Hologrammatica / ホログラマティカ
T. S. Orgel / Terra / テラ
Judith C. Vogt / Roma Nova / 新ローマ
新人賞:
Kris Brynn / The Shelter – Zukunft ohne Hoffnung / ザ・シェルター:希望なき未来
Rebecca Andel / Feder und Klinge / 羽と刃
Willi Hetze / Die Schwärmer / 群人
インディペンデント作品:
Birgit Jaeckel / Das Erbe der Rauhnacht / 十二夜の遺産
Nora Bendzko / Hexensold / 魔女の贖い
Stella Delaney / Das Leuchten am Rande des Abgrunds / 奈落の縁の明かり
ラスヴィッツ賞の候補作と共通する本が多数見受けられる。
個人的にファンタスティーク(ファンタスティカ)というと、ファンタジー寄りのイメージがあるし、ファンタスティーク大賞の受賞作とか見てもその傾向は間違いなくあるのだけど、それだけ懐の深いジャンルであるということか。
自費出版部門のNora Bendzkoの『魔女の贖い』は〈ギロチンメルヘン〉と銘打った童話モチーフのホラー・シリーズの一作で、他の作品が以前ファンタスティーク大賞だったか、ノミネートされたことがあるはず。
5/20追記:やはり2017年のファンタスティーク大賞ノミネート作紹介記事で言及している。ベンズコの短編「狼病(Wolfssucht)」がノミネートされていたのと、長編『白銀の女王』の部分で”セラフ幻想文学賞”の名も挙げていた。これは下記Wikipediaの項目名から、だったはず。公式サイトでは単にSERAPHである。
以下、歴代の受賞作を挙げる。
最優秀賞:
2018: Michael Marrak / Der Kanon mechanischer Seelen / 機械の魂のカノン
2017: Katharina Seck / Die silberne Königin / 白銀の女王
2016: Nina Blazon / Der Winter der schwarzen Rosen / 黒薔薇の冬
2015: Kai Meyer / Die Seiten der Welt / 世界の頁
2014: Ju Honisch / Schwingen aus Stein / 石の翼
2013: Kai Meyer / Asche und Phönix / 灰と不死鳥
2012: Christian von Aster / Der letzte Schattenschnitzer / 最後の影彫人
新人賞:
2018: Theresa Hannig / Die Optimierer / オプティマイザー
2017: Julia Lange / Irrlichtfeuer / 鬼火
2016: Daniel Illger / Skargat – Der Pfad des schwarzen Lichts / スカルガト:黒い光の小径
2015: Akram El-Bahay / Flammenwüste / 炎の砂漠
2014: Katharina Hartwell / Das fremde Meer / ちがう湖
2013: Mechthild Gläser / Stadt aus Trug und Schatten / 欺瞞と影の都市
Jan Oldenburg / Fantastik AG / ファンタスティーク株式会社
2012: Nina Maria Marewskis / Die Moldau im Schrank / 戸棚の中のモルダウ
インディペンデント部門:
2018: Janna Ruth / Im Bann der zertanzten Schuhe / すり切れたダンスシューズの呪い
2017: –
2016: Hanna Kuhlmann / Nachtschatten / 夜影
※自費出版部門は2016年が最初。
ウィッキーさんを見ると、アカデミーがスポンサーになったのは2016年からとあるので、自費出版関係はそのへんもからんでるのかも。
■Phantatik-Akademie公式:Preisträger
■Wikipedia:Phantastik-Literaturpreis Seraph
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません