ローダン・ヘフトのストーリー
2. アトランとアルコン / Atlan und Arkon
ヘフト50-99話 / 西暦2040-2045年
太陽系、グレイビースト、M-13球状星団、ドルーフ宇宙シアメド星系にて
主な登場人物
- ペリー・ローダン……太陽系帝国の第一執政官
- アトラン……長き眠りからさめたアルコン人
- マルセル・ルゥ……太陽系艦隊少尉
- ホレース・O・ミュロン……もと暗殺者、グレイビーストの流刑囚
- エルンスト・エラート……時空の放浪者
- トマス・カーディフ……ローダンの息子
- 〈大調整官〉……アルコンIIIの巨大ポジトロニクス、アルコン摂政
ストーリー
銀河すべてを煙にまいて惑星テラ破壊をよそおった“地球替え玉作戦”から50年。
永遠の生命の星ワンダラーで相対的不死を得たローダンは太陽系帝国の第一執政官に就任し、テラは銀河に地歩を築くべく力を蓄えていた。
しかし、大西洋の海底ドームでひとりの男が深層睡眠からめざめる。彼の名はアトラン。1万年の昔、ラルサフIIIと呼ばれていたテラに植民地を築いたアルコンの水晶王子!
細胞活性装置を持ち、不死のアルコン人は、故郷へ帰るために宇宙船入手の試みをくりかえす。テラの銀河ポジションをアルコン摂政に漏らすわけにいかないローダンとの間に確執が生じるが、同時にふたりの間には奇妙な共感が芽生えていた。
惑星ヘルゲイト、そして金星博物館での一対一の決闘の果てに、この後、終生続く友情が生まれる。
同じころ、アルコン帝国を統治するロボット摂政が、消滅したはずのテラとローダンが実は現存することを知り、コンタクトを求めてきた。銀河系の惑星を脅かす“姿なき敵”……。大ポジトロニクスの論理を逸脱する脅威の前に、活力あるテラナーの協力を欲したのだった。
相対前線の通過した後には、すべての生命が消失している。それは、1万年前にラルサフ植民地を滅ぼしたのと同じ現象――異時間平面からの侵略者ドルーフ!
時間平面間の移行を可能とするレンズ・フィールド・ジェネレーターの開発によって、太陽系帝国の精鋭たちはドルーフの本拠地シアメド星系に橋頭堡を築くことに成功する。
だが、そもそもアルコン摂政が信頼のおける同盟者ではないことを知っているローダンは、二正面作戦を余儀なくされる。ふたつの時間平面が、やがて再び分離するさだめにあることが判明してからは、なおさらのこと。
太陽系艦隊の前進基地グレイビーストはアルコンのロボット艦隊の猛攻の前に核地獄と化した。
そして、いまはローダンの妻となったトーラが、摂政の陰謀の結果殺害されるにおよんで、ついにローダンは大ポジトロニクスの破壊を決断。決死隊を自ら率いてアルコンに潜入する。
最終的に事態を決したのは、アトランだった。彼の声を受信した摂政の秘密スイッチが発動し、アトランを正統の水晶王子と認めたのだ。1万年を地球ですごしたアルコン人は、テラの良き同盟者となるだろう。
その直後、偶然の転送事故によって太陽系の所在を知ったドルーフの大艦隊が襲来し、故郷を守るためローダンは、50年余りに渡って秘匿し続けたテラの銀河ポジションを銀河諸種族の前に明かさざるを得なくなった。
アルコンの新皇帝即位とともに、テラには新時代が訪れたのだ……。