ローダン・ヘフトのストーリー
37. ニューロヴァース / Neuroversum
2600話-2600話 / 新銀河暦1469年ー1470年
銀河系、カンダ銀河、マイクロ宇宙アノマリー、そして調和の帝国の諸銀河にて
主な登場人物
- ペリー・ローダン……ギャラクティカムのポリポート・ドメイン特命大使
- エンネルハール……自称〈それ〉の使者は、テラナーに警告をもたらす
- ネモ・パルティジャン……スターダスト星系生まれのハイパー物理学者
- ヘンリケ・ユバリ……アノマリーへ拉致されたソル星系の第一テラナー
- アルン・ジョシャナン……惑星マハラニ執政官、臨時第一テラナー
- アラスカ・シェーデレーア……マスクマンは《光力》で〈調和の帝国〉にいたる
- ショロウブワ……時薔薇〈ボットネット〉の設計者
- 〈タネドラル〉……〈調和の帝国〉を統べる超知性体
- 〈キン=シ〉……カンダ銀河の超知性体は、高次勢力の干渉を逃れるため〈ニューロヴァース〉創造を目論む
- デロリアン・ローダン……かつての〈それ〉の年代記作者
ストーリー
周波王国との戦いの過程で〈オリジナル・コントローラー〉を手にし、アンスリアナーの遺産ポリポート網を継承した形のローダン。テラ政庁首席を辞し、ギャラクティカムのポリポート・ドメイン特命大使に就任したテラナーは、かつて老朽艦として売却された《バジス》をアンスレスタ銀河との間でポリポート網を経由した通商船として再利用するプランを実行に移した。
新ギャラクティカムの議場惑星オーロラのあるハロー星系に設置された商星《ジェルガル》から《タリン・アンスレスタ》まで6億6200万光年を4時間半で結ぶ航路が稼働する前日、ローダンのもとをエンネルハールと名乗る人物が訪れる。彼はデロリアン・ローダンを伴っており、テラナーに〈キン=シ〉と〈ボットネット〉について警告に訪れたのだ。《バジス》には建造の時点から、ある秘密が隠されており、キン=シはその〈多元宇宙ヴューアー〉を手中におさめんとたくらんでいるという。デロリアンは〈ヴューアー〉を使用する鍵となる〈多宇宙スーツ〉をローダンに委ねる。
だが、警告もむなしく、《バジス》はキン=シの勢力圏カンダ銀河へ移送されてしまう。
時をおなじくして、銀河系を大事件が揺るがした。ソル星系が謎の消失をとげたのだ!
未知なるマイクロ宇宙〈アノマリー〉に転移したソル系では、重力異常や隕石落下による被害が相次ぐなか、政庁首席レジナルド・ブルと第一テラナー、ヘンリケ・ユバリの主導で事態の打開をめざす。その一方で、ユバリの夫シャムスル・ルースはテラで怪しい活動をはじめた異人アウグル種族を目撃する。
また、針状宇宙船で出現したスペンタ種族は、恒星ソルを障壁で覆い、超知性体アルケティムの遺骸を摘出するためソルを“鎮火”しようと図る……。
その頃、銀河系では〈セクター・ゼロ〉と名づけられた旧ソル系ポジションを探るべく研究がはじめられていた。星系消失に前後して生じたエネルギー活動に関連して、謎の「時薔薇〈ボットネット〉」なる概念が明らかとなるが――。
プレアデス星団の惑星マハラニでは、LFTの惑星執政官会議が開かれ、アルン・ジョシャナンが暫定第一テラナーに選出され、混乱の収束をはかる。他方、呼応するように活動を活発化させたアルコン過激派組織〈アルク・テュサン〉の背後にはキン=シの工作があったことが判明する。新USOはアルコン副帝トルマナクと協力して捜査にあたる。
そして《光力》で〈調和の帝国〉の銀河エスカリアンに到達したアラスカ・シェーデレーアは、超知性体〈タネドラル〉のかけらを宿す“調和した”人々から敵対視されていた。「涙の湖の警鐘劇」の登場人物とおなじ、タファラ、ネトブラ、ドラナト、アルデンの4エンティティからなるタネドラルは、現在キン=シから攻撃をうけていた。タネドラルから協力要請をうけたシェーデレーアは、彼の捜すサンブリ・ユラと〈ボットネット〉の設計者ショロウブワに何らかの関わりがあるとにらむが……。
カンダ銀河のローダンは、《バジス》を一時放棄し、打開策をもとめて《ミクル=ジョン》で放浪していた。カンダ銀河は、ポリポート網に登録されていながら連絡途絶とされたアルカガル銀河と同一のものらしい。エンネルハールの協力を得て、キン=シ警護隊と戦いつつ、抵抗運動の存在、隣接銀河エスカリアンとの戦争など、現地の状況をつかんでいくローダン。だが、そのあいだにも、デロリアンの起動したタナトス・プログラムにしたがい、《バジス》は〈多元宇宙ヴューアー〉への変貌をはじめていた。